2003/08
08/31
Summer city???
teratti の英国奮闘記 11
8 月の Edinburgh は festival 一色です。毎日(ほとんど)常にどこかでパフォーマンスが繰り広げられるという日々が続くわけですが、その Edinburgh International Festival の finale を飾るイベントが、Edinburgh Castle を見上げる Princes Street Garden で開かれる Fireworks Concert です。Scottish Chamber Orchestra による演奏にあわせて Edinburgh Castle とその上空を約 45 分間、極彩色の花火が踊ります。
ただし。誰でもその Garden に入れるわけではありません。開始約 2 時間前には一旦中にいる人が締め出され、チケットを持っている人だけが入場できます。今年は入場券が £7、音楽を聴くのには最適な演奏ステージ正面の椅子席は £25 でした。まあ、Garden には入れなくても、少し遠くにはなりますが、Princes Street から眺めるのは無料なんですけど(でも、このメインストリートは毎年身動きができないほどの混雑になります……)。また、チケットの入手はそう容易ではありません。まず郵送による応募で抽選がありますが、当然外れる人もたくさんいます。残りのチケットは Edinburgh 中心部で後日売り出されるのですが、確実に手に入れたいなら朝早くから並ばなければいけません。要するに何を言いたいのかと言えば、事前に応募もしないで Stirling に住みはじめたばかりの僕たちがチケットを入手するのはまず不可能だということです。
……なのですが。非常に非常に幸運なことに、父の関係で(←そればっかだ(でもまあ、当然と言えば当然))家族全員分のチケットが手に入りました。何ともありがたいことに、Edinburgh 市内に住む方が朝早くに並んでくださったのです。感謝。
というわけで、行ってきましたですよ。昨日。
Fireworks Concert 自体は 22:30 から始まるのですが、開場は 20:30 (予告) です。その間することといえば。……えんかい。そう、宴会です。開場とともにたくさんの人がなだれ込み、ベストポジション争奪の激しい競争が繰り広げられることは調査済み。したがってちょっと早めに 18:30 ぐらいから並んでおりました(開場時刻を 19:30 と勘違いしていたなんてことはありま?)。いろいろと合流して物資を調達してきたりおしゃべりしたり Fish & Chips を食べたりして(よく考えたら初体験です)くつろいでいると、予告より早い 20:00 過ぎになぜか突然開場。みんな大慌てで体勢を整えなおして、目星をつけていた場所へ一目散に向かいました。まあ何とか場所を確保したら、のんびりと宴会スタート。このときはいい天気だったんですけどねえ。
Edinburgh Castle は丘の上にあります。というか、岩の上にあります。その「麓」に Princes Street Garden があるのですが、もともと池があったのを埋め立てたとかいう話もあって(未確認)、ここは周りに比べてがくっと低くなっています。ですから Garden から見てみると、目の前に岩壁がどーんと立っていて、その上にちょこんと Edinburgh Castle が載っているという形になります。待っている間、岩壁はスクリーン代わりに使われて、絵画が投影されたりしていました。キリのいい時間には試し打ちもあって、気分を盛り上げてくれます。
入場してしばらくはとても良いお天気だったのですが、北の方から徐々に雨雲らしきものが侵攻してきたなあと思っていたら、開始 30 分ほど前に雨が少し降り始めました。それほど長くは続かなかったのですが、そのせいか開始が 15 分ほど遅れるという放送(と、ちょっとした boos:)がありました。
で、はじまりはじまり。父に感動するぞするぞとさんざん脅されていたのでいったいどこまですごいのかと思っていたのですが、想像力がたくまし過ぎるのがダメなんでしょうかね(そんなわけないよー)、最初はまあこんなものかといったところでした。音楽と合っているようで合っていないような、まあ、直前の雨でコンディションが悪かっただけかもしれませんが、もっとうまくできるだろうになー、と違和感が結構強かった場面も。でも、後半はやはりなかなか凄くて、思わずほう、と感心してしまうことも何回かありました。衝撃波でびっくりしたと言ったほうが近いかもしれませんけど :)。まあ、こればっかりは直接見ないことには何も分からないですよね。少なくとも一見の価値はあります。
最後のコーラス(今年初めて?)が終わろうかという頃には、また雨が……。初めは Scotland らしい細やかな雨でしたが、ちょうどコーラスが終わった頃にかなり厳しい雨に変貌。余韻に浸る間もなく、どたばたと片付けに追われました。そしてなんとか Garden を脱出する頃には、相当強い雨に。うーん。吐く息がちょっと白くなって、今は 8 月今は 8 月……と自分に言い聞かせる羽目になったりもしましたが、Fireworks Concert の間に強く降らなかったのが救いではありますね。
情けないことに夜遅くて Stirling に帰る手段が無い、というわけでお世話になりっぱなしで申し訳ないのですがチケットを用意していただいた方の家にお邪魔することに。お茶をいただいて tattoo のビデオを見て、就寝。
teratti の英国奮闘記 12
次の日、つまり今日は朝ご飯までいただいていろいろと御指導を受けた後、Edinburgh Uni (Geroge Square のほうですけど) を通って City Centre まで出ました。
まあ、ついでだからと Lothian Bus がやっている City Sightseeing の Edinburgh Bus Tour を使ってみることに。音声ガイドが 7 ヶ国語対応なのですが、7 つ目の言語が日本語なのはちょっとした驚きでした。2 階に上がると気分が良いのか悪いのか、まあ見晴らしはなかなかのものです。……寒さもばっちり感じられますしね。坂を下るときとか、ほとんど冬のジェットコースターみたいな感じでした。
ただ、日本語のガイドがあるのはいいのですが、なぜか発音が聞き取りにくい。語尾は聞こえるんですが、肝心の部分がつぶれてしまって内容が分からないんです。むしろ英語の方が聞きやすいという謎な状況に……。考えてみれば、英語って必要な音域が日本語とたぶん違うんですよね。英語がとりあえず判別できるだけの音質、音域だと日本語もカバーするのは難しいのかもしれないな、と。
ついでのついでに、Edinburgh Castle もちょっとだけ覗いてみたり。無料でガイドさんの案内があったのですけど、たまたま発音がおもしろいぐらいに非常に極端な人で、th の音を出すときには舌が完全に口から出ていました。お城の中は見るものがたくさんあったので、今度またじっくり見たいですね。
帰りは Scotrail で。ぷはー。何事もなく電車で帰ったのは初めてかも。
08/29
く、くりりん……関スー
teratti の英国奮闘記 10
今日は Scottish Citylink の Service 909 で父と二人で Edinburgh へ。Off Peak Day Return (09:00 以降の利用)が £4 なので、これを使うのが今後メインになるでしょう。でも、10 journey ticket を家族で share するのはダメだと言われたのは辛いです。むー。
Edinburgh では、父の関係で(ぴー)とか、the University of Edinburgh の Main Library を覗いたり(中に AI Library がありましたよん)とか、父の関係で(ぴー)とか、10BASE-B ベースのネットワークを久しぶりに見たりとか、Scottish National Library で登録用紙をもらったりとか、本屋さんを探してなんとか里とか、Bus Station までダッシュしたりとか、まあそんな感じでした。そろそろまともな英英辞書が欲しいです。父の関係で(ぴー)な(←いいかげんしつこい)某 Professor にごちそうしていただいたイタリア料理はお手ごろ価格でなおかつそこそこに美味でありました。こういうお店が Stirling には無いんですよねえ……。
ところで、今度は雫を(裏シナリオを含めておそらくほとんど)クリアしました。ありきたりな突っ込みは却下です。本当はあの「日常」を実際に生きているときに触るのが良かったのだとは思うのですが、まあいろいろあってこの「非日常」時になってしまいましたけど。そして例のごとく、異次元編には声を上げて笑わせてもらいました。(このゲームを文字媒体と言ってしまっていいかどうかは一考の余地がありますが、)文字媒体を読んでいて笑い声が思わず出てしまったのは、ひょっとしたらあずまんが大王以来かもしれません(って、よく考えたらあずまんが大王も文字媒体と違う……)。というか、関西ローカルネタ多すぎです。Leaf 大阪恐るべし。
あー。こういう「エロゲー」(と言っても、いわゆる「感動系」ですけど(って、雫は違うか……))の話題が嫌いな方には申し訳ないのですが、これ系の話はとりあえず残り 痕 と Kanon を触り終えるまで終わりません。まあ、misc > SS をご覧になったり、僕の高校の卒業文集をご覧になった方ならお分かりになると思いますが、僕が今まで 19 年とちょっと、長いとは言えないまでも少なくとも短くは無い時間を生きてきて、最も心を動かされた文章群の源泉がこれらのゲームなのですから、仕方ないと思ってください。ちなみに書いておくと、ONE の先日のリストでみさき先輩が先頭なのは、wayさんの「NOT FOUND」の影響によるところが大きいです。単独の台詞で僕が今までで最大の衝撃を受けたのは、この SS のみさき先輩の台詞でした。あまりお薦めして回れるような内容の SS ではないところが残念と言えば残念ですが、でも深い感動というのはそんなところからしか生まれないのかもしれません……。
で。これのどこが奮(中略)却下ったら却下っっ!
08/28
主体性の無い付和雷同な奴等?
teratti の英国奮闘記 9
昨日は、これまた大手スーパーの Sainsbury へ近所の S さんに連れて行ってもらいました。TESCO はそこそこ古い店舗なのに対して Sainsbury は結構新しいらしく、比較的洗練された内装が印象的でした。店舗の古さがどうこうと言うよりも、チェーンの特徴なのかもしれませんけど。
今のところ存在を確認している Stirling のスーパーは、TESCO, Sainsbury, Somerfield, Safeway の 4 つ(もっとも、Safeway は Edinburgh の店舗に入ったことはあるものの、Stirling の店舗へはアクセスが悪いのでまだ行ったことはありません)。そしてこの 4 つに ASDA を加えた 5 つのチェーンで、英国全土の(生活雑貨?)小売シェアを 50% ほど占めているという話です。対して日本の大手スーパーといえば、ダイエー、ジャスコ、イトーヨーカドー、西友ぐらいでしょうか。確かこれを全部合わせても 20% 程度のシェアしかなかったはずですから、英国で大手チェーンが持つ影響力の大きさが良く分かります。実際、Stirling の中心部にある専門の零細小売店といえば、僕が意識しているのはパン屋さん(これは数軒あります)とお肉屋さんが少々と言ったあたりで、少なくともあまり多くはないようです。
さらに、このシェアのせいかどうかは知りませんが、英国ではスーパーの private brand が良い印象を持っているそうです。スーパーの private brand って、たとえばダイエーだと「セービング」というシリーズがありますよね。シンプルでそこそこの品質のものを安く売っているので、買っている人は少なくないと思います。でも、上手な表現が見つかりませんが、日本では private brand が良い印象を持っているとは言いづらいところがあります。安かろう悪かろうとは言わないまでも、ちょっとばかりの後ろめたさが付きまとうとでも言うのでしょうか、それを大っぴらに見せることはやや憚られる感が無いわけではありません。しかし英国では、その後ろめたさはほとんど意識されないらしいのです。
ほとんどあらゆる商品に private brand が存在します。パック詰めされた生鮮食料品はもちろんのこと、各種缶詰や調味料、ビスケットなどのお菓子などはそれだけで何種類も揃っています。しかも安いんです。たとえば今日行った Sainsbury の食パンだと、1 斤最低 19p から。まあ、ちょっと日本と違う点はあって、同じチェーンの private brand の中でもいくつか違った格付けが存在します。だいたいどこのチェーンも似た価格体系を持っているようで、おおまかに低価格・通常・高級の 3 つに分かれています。TESCO の場合だと、低価格は TESCO VALUE ブランド、通常版は TESCO 無印、高級なのは TESCO Finest* ブランドというように。先の 19p のパンというのはもちろん、Sainsbury の低価格ブランドです。そしてもちろん食品以外の分野にもあるわけで、Somerfield ブランドのティッシュまで売っています(というか、まさに今僕の隣にあります)。そして Sainsbury に至っては、自前の銀行(Sainsbury's Bank!)まで持っていたり(念のため言っておくと、Bank of Scotland との共同出資です)。日本でダイエー銀行ができても、まあ流行ることは無いですよね……。うーむ。しかしここまでくると、多角化しすぎのような気が無きにしも非ず……。
そういえば、全然関係ないですが、BT から手紙が来ました。なんだか電話料金が高すぎるので、この調子で使い続けたら回線停止するぞという警告のようです。……いや、僕のせいじゃないですってば。国際電話が高いだけでしょう。……たぶん。
08/26
すすすすた〜r
teratti の英国奮闘記 7
というか。このところずっと 12 時ごろに寝ているわけですが、12 時までに起きられたことが無いというのはどういう訳でしょうか。
というか。Stirling のことなんてどうでもいいんだよ。要はオマエが英語で悩み苦しんでるザマを見れたらそれでオレは満足なんだという貴方へ。
苦しんでます。
というか。実はあまり苦しんでなかったりもするのですが。むは。それはですねえ、あまり外に出てないからなんですねえ。うんうん。家の中は変な空間なのですよ。なによりもまず、bathroom にカーペットを敷いてあるのが高ポイントですよね。いやいや、それじゃなくて。家の中には日本人しか居ないのでありますことよ。会話はすべて日本語じゃぱにーず。当然。でも、the Internet にはあまり繋げないし日本のニュースなんて見られないし新聞も頻繁には買わないんですって。まあ、なんてひどいのかしら。彼は日本に居るようで日本に居ないし、Scotland に居ないようで Scotland に居るの。見て。彼は遠い世界へ旅立ったのよ。さようなら、クラッチ。
ちゅーか。あんた何やってんの? と関西風のアクセントでなじってもらうと気持ち良いのですが、その遠い世界にいる間に ONE を全ヒロインクリアしました。わ。こらそこの人、逃げない。このゲーム、手に入れる前から全ヒロインへの「愛」――この場合は各人物への関心の大きさとでも解するのが適当だろう――の序列が決まっていたという変な代物。ストーリーを知ってるゲームをわざわざやって楽しいのかという至極もっともな疑問は所詮至極もっともな疑問に過ぎないのであります。そしてわざわざ用意したのは初代 Windows 95 版。そしてわざわざ XP で動かしてみると動かない罠。しまったここは Scotland だった!
ちなみにその序列は以下の通り。
みさき先輩 ≒ 茜 > 瑞佳 > 澪 > 七瀬 > 繭
そして現在。
みさき先輩 ≒ 茜 > 瑞佳 > 澪 ≧ 七瀬 > 繭
あー、一応氷上エンドも見たんですが。それからいといろと精神的に辛いので CG コンプリートはしてません。ただでさえ瑞佳エンドを見るためにはうぐぅ。ちなみにいろいろと感動はしましたが泣いてませんので、くれぐれもそこのところはよろしく。
さてさて、キリのいいところでこのお話はおしまい。よいこのみんなは次回をお楽しみに!
え? よくないこはどうでもいいです。
teratti の英国奮闘記 8
うわーんごめんなさいごめんなさい。
まずいくつか訂正。Somerfield で売ってる evian の値段は £2.99 でした。あと、Edinburgh の大きな駅の名前は Waverley。ヨクカンガエタラアタリマエダ。それでもよく考えないと気づかない辺りが既にピーですが、うーん。エタラアタリマってマイナーな RPG に出てきそうな名前ですね。
で。今はすごーく気分が悪いのでかなり気分が悪いです。その原因は Baked beans なる食べ物。トマトソース味で、缶詰が非常に安く(最安値は 9p!)売られています。なぜだかよく見かけるので、試しに買ってみたわけですが……。ううう。食べられない味ではないんですが、僕との相性は相当悪いようです。すべてのやる気を削がれました……。
相性が悪いといえば、もうひとつ。TESCO で売っていたパンのお話を。以前買ってまあまあの味だったパンと同じものを、また 1 斤買ったんです。あ、そうそう。こちらでは食パンは 1 斤単位でしか売ってませんねえ。ただ、切り口の大きさは日本より小ぶりで、切り方も日本より薄めですけど。Medium で日本のサンドイッチ用ぐらいでしょうか。それでもって、パンは安いんですよね。極端なものだと 1 斤が 25p で売られていたり。その値段を見たときは、一瞬パンの耳でも売ってるのかと思いました。……あ。そういえば、パンの耳を売ってるのはまだ見てないです。
閑話休題。話を戻します。そのパンを家に帰って焼きますよね。普通、焼きたての食パンはおいしいものです。そのときもそう信じて疑わずに口に運んだのですが、歯形がパンについた時点で僕の動きは止まりました。Why? ……味がしないから。このとき僕は、それまで味が無いことの恐ろしさを知らずに生きてきた自分がいかに愚かな存在だったのかを悟りました。これでも僕は一応、パン好きで通っています。今まで結構な量のパンを食べてきたと思っていますが、それでもこれは全くの未体験ゾーン。本当に味が無かったんです。あえて形容すれば、……苦い(?)――いや、苦いパンなんか無いって。と突っ込めないのが非常に辛い。テーブルに出ていたあらゆる料理を駆使してその不味さを意識しない(できない)ように食べましたが、最後には、人間はここまで不味いパンを作れるんだ……と感動のあまり涙を流すところでした。
冷静に分析してみると。ひょっとしたら塩を入れ忘れてたのかもしれません。いや、でもそれだけであそこまで不味くなるかな……。
うー。あと何かあったかなぁ。あ、綿毛のお話。外を歩いてると、白いものが飛んでいるのにしばしば気づきます。手にとって見ると、それはまさしくタンポポの綿毛にそっくり。今はさすがに減ってきていますが、到着した頃はもっと多かったですね。未だに正体は知りませんが、一種の風物詩らしいです。
到着直後と比べてみると、もうずいぶん気候が変わりました。まだ 8 月なのに、寒さを感じることも少なくありません。これが冬になったらどうなるのか? ……あまり想像しないほうが精神的によさそうです。
08/19
コマネチとナディア。
teratti の英国奮闘記 6
というか。Stirling って何処よ。Edinburgh に行くんじゃなかったの? という疑問をお持ちの貴方。その疑問は悔しいぐらいにまったく当然です。
というか。The University of Stirling って何よ。The University of Edinburgh へ行くんじゃなかったの? という疑問をお持ちの貴方も。申し訳ないぐらいまったくもって正しいです。ごめんなさい。
この裏には説明すれば天文学的な時間がかかるかもしれない深遠で憂鬱な政治的配慮があると妄想してみるのは面白いのですが、現実はやはり憂鬱です。そもそも、日本でそこらに転がっている地図には Stirling なんて載っていない可能性が……。
Stirling は Edinburgh の西北西数十 km にある人口約 8 万の都市です。エディンバラを小さく縮小したような町
と形容する人もいて、僕もそれは大方その通りだと思います。Scotland で Edinburgh と双璧をなす都市 Glasgow からもそう遠くはない、そこそこ交通の便が良いところです。まあ、交通の便が良いといっても、Edinburgh までは列車で小一時間かかるのですけど。
僕は the University of Edinburgh に visiting student として 10 月から来年の 6 月まで通います。……が、住むのは Stirling です。The University of Edinburgh に通う学生は徒歩通学可能な圏内に住居を構えるのが当然という話を聞いたり Edinburgh 行きの電車は 1 時間に 1 本しかなかったり切符を普通に買うと往復で£6 ぐらいしたり定期券という概念が無いような気がしたりいざ Edinburgh へ行こうとしたらお金がかかるから止めろ(意訳)と母から言われたり(じゃあどうやって通学するんだ……)するというような事実があるのはたぶん事実なのですが、それでも住むのは Stirling です。まあ、えいえんが本当にあるのかどうかは知らないとしても、この世界には知っていいことと知らないほうがいいことがあるんですよ。すーはーぷしゅー。
さて、今日は NHS とか GP の登録について話を聞くために the University of Stirling へ行ってきました。The University of Stirling がなぜ頻繁に話に出てくるのか不思議かもしれませんが、父の知り合いがいたり(検閲削除)だったりして、父(&me)が使える研究室があるというのがその理由です(あと、そのつてで今日みたいにお世話をしてくださる方々もいらっしゃいます)。今日は天気があまりよろしくなく(というか Scotland では天気がいいほうが珍しいようですが)、時折止みはしたものの、傘があまり役に立たない霧のような雨が降っていました。ここはキャンパス内に三四郎池の何十倍あるのか分からない池があったり(←比較対象がおかしい)、ゴルフのショートコースがあったり、果てにはお城(castle!)まであったりする、日本的感覚では理解し難いところです。今日は芝生の上でたくさんの鳥たちと野うさぎが遊んでいました。あと、日本語をしゃべる日本人が数名。
そうそう、TESCO へ寄った後、家に帰ってお茶を飲んで一服していると、雨が止んで大きな虹が庭の正面に見えました。それも、外側はうっすらとしか見えませんでしたが、二重のもの。今まで生きてきて何度か虹を見たことはありますが、間違いなく今日のものが一番強く色が出ていました。残念ながら数分後には完全に消えてしまいましたが、おかげで雨のことも忘れていい気分になりました。
ところで。たまたま転がっている本を見たら、"Fact: The average human eats 8 spiders whilst sleeping (lifetime)" ……って書いてあったんですが、これって本当なんでしょうか……。
08/15
遠く英国の地より黙祷。
teratti の英国奮闘記 5
そういえば昨日のイタリア料理店で改めて気づいてハッとしたのは、水はタダではないということ。今のところ、ブランド物のミネラルウォーターでは Somerfield で evian 1.5l x 6 が £2.1 ぐらいだったのが一番安いようです。あ、£1 は日本円で \200 に相当すると思ってほとんど間違いないです。
今日は駅近くの TESCO へ。雑誌のコーナーがあったので、インターネットへ接続する手段について何か情報を得られないかと思って立ち読みしてきました。どこでもそんなものなのかもしれませんが、新製品の review ばかりの雑誌が多いです。1 つだけ Broadband 特集があったので見てみると、ADSL, Cable, Satellite の 3 種類が紹介されてました。FTTH は事実上存在しないようです。ADSL は普及期に入りかけ(カバー率は 70% 強)のようですが、上り 512kbps / 下り 256kbps で各社横並びなのは面白いところです。最近の日本だと理論上の最高値で 20Mbps を超えるサービスも出ていますから、同じ ADSL でも 40 〜 50 倍の差が出ていることになりますね。余談ですが(というかこれ全部が余談ですが)、ある雑誌では computer fairs (フリーマーケットっぽい安売り?) の特集をしていて、「海外」の例として秋葉原の写真があったんですが、ど真ん中に移っているのがピンク色の看板で、「アダルト」の文字がたくさん躍っていました。これ、英語で書いてあったら絶対に載らないですよね、たぶん……。
さて、英国といえば無料 ISP です。ADSL がどうのこうのと言う前に、the University of Stirling まで行かないと Web も見られないし SMTP が全く使えないという現状を考えてみると、まずはダイヤルアップ環境を整えないといけません。実は昨日、無料 ISP の先駆け freeserve.co.uk の CD を Edinburgh の Dixons という家電量販店でもらっておきました。広告などの関係でレジストリをいじられまくるのは目に見えているので、父のパソコンに実験台になってもらいつつ接続に必要な情報だけもらっておきました。戸惑ったのは、途中 8 文字のパスワードを設定したのですが、インストーラに任せた父のパソコンではパスワード入力欄が 16 桁のアスタリスクになっていたことでしょうか。それでちゃんと接続できるのですが、ほかのパソコンから接続したいとき、最初の 8 文字のパスワードでは一見無理なように思えました。結局その 8 文字のパスワードで大丈夫でしたが、よく事情が分かりません。まあ、何はともあれやっと SMTP が使えるようになったので、これから各方面へメールを出せそうです。
08/14
首が痛いー。
teratti の英国奮闘記 4
一昨日はあまりに感動していたせいで書き忘れましたが、Highland Dancing を観ているときに前の人が着ていた服には戸惑いました。なぜだか知りませんが、背中にお世辞にも上手とは言えない字で「ナイキ」って書いてあったんですよね。しかもカタカナで。あれは偽者だったんでしょうか。
昨日は住まいに一番近いスーパー、Somerfield へ偵察に。Somerfield は英国のスーパーで 5 位ぐらいのシェアだそうです。ちなみに 1 位は TESCO というところで、単独で 20% 前後を握っています。Stirling には駅前に 1 軒あるようです。スーパーではいろいろと得体の知れないものを売っていてなかなか面白いのですが、冷凍食品の勢力が非常に大きいのは意外でした。Somerfield が出している情報誌を見てみても、いかに食事を手早く済ませるかに重点が置かれていて、食事自体や料理の過程を楽しむことはあまり考慮されていないようです。お味のほうは……ノーコメントで。
今日は Edinburgh 市内まで行ってきました。Stirling からだと Edinburgh は結構遠いもので、本当に大学に通えるのかどうか不安ではあります。今 Edinburgh はちょうど festival の最中で、街中がとても賑やかです。中心にある Weaverly 駅(綴りはあやしい……)も混雑していました。
在エディンバラ日本国総領事館へ行って在留届を出してから、実際に通うことになるキャンパスまで 42 番のバスで行ってみました。The University of Edinburgh には主に 2 つのキャンバスがあって、1 つは市の中心部 George square の周り、もう 1 つは南にしばらく行ったところにある King's Buildings です。残念ながら僕が通う the Colllege of Science & Engineering は King's Buildings のほうになります。City centre からはバスで 15 分ほどなのですが、あまり本数がない(max で 20 分に 1 本ぐらい)ようなのが困りものです。歩くにはちょっと長い距離なような気がしますし。
Stirling をけなすわけではないのですが、やはり Edinburgh は大きな都市です。しかも、中心部の雰囲気が統一されているのがすごいと思いました。Old city の雑然さも魅力的ですが、New city のいかにも計画都市っぽいスマートな配置にも捨てがたいものがあります。どちらにしても、近代的な「ビル」が一切存在しないところに文化都市としてのプライドを感じました。目抜き通りのイタリア料理店で食事してから帰りましたが、メニューのイタリア語が発音できないので注文するにも一苦労ですね。
トラブルが無いわけではありません。お土産屋で絵葉書を 30p x 12, 20p x 2 だけ買ったところ、最初全部 30p だと勘違いされて £4.20 請求されました。それで 2 枚が 20p であることを説明してちょうど £4 になるのかと思えばそうでもなく、なぜか £3.80 になったりと、レジスターを導入してもやはり暗算能力は必要だということを教えてもらいました。
あと、帰りの電車に乗ろうと Weaverly 駅で待っていたところ、それまで出ていた電車の電光掲示が突然消えたのには参りました。駅員に聞こうにも、既に office が閉まっている(!)のではどうしようもありません。そうこう言っているうちに既定の出発時刻になってしまい、1 時間待って次の電車に乗るしかないのかと諦めかけていたのですが、近くの人に声をかけてみると、なんとその人がその電車の運転手だとか。運転手さん曰く、自分も何が何だかさっぱり分からない、こんなことは初めてだ、と。結局数分後には掲示が回復して Delayed という表示が出るようになりましたが、それならそれで最初からそう表示しておいて欲しかったものです。運転手さんまで知らないとは……。
08/12
謝謝。
英国到着
まー、何と言いますかいろいろとあっていろいろとあったのですが、とにかく着きました。今は父が使わせてもらうことになった the University of Stirling の研究室から更新しています。生きてます。
Hello, Edinburgh & Stirling!
teratti の英国奮闘記 3
語から国に変更。
このところ毎週火曜日に Stirling Castle Esplanade でやっているという Highland Dancing and Pipe Bands を見てきました。となりのお兄さんがうるさかったりしてうるさかったりしましたが、内容は略。
それより、観客の中に女の子がいた(←当たり前)んですが、その中に絶望的なまでに素晴らしいセンスの服装の子が1人いまして、僕はその子を一目見て感動してしまいました。たぶん11歳から13歳ぐらい(はいそこのお兄さん、ロリコンとか言わないでくださいね)だと思うんですけど、典型的なフランス系美人で、完全な上流階級というわけではないやや快活な半下町娘(?)っぽい仕草にあまりに似合いすぎている服でした。ラフな子供っぽさと優雅さが融合した上にほんのちょっとの官能的要素も加わった、これは東洋的な感覚では絶対にありえない、でもなんて素晴らしいんだろうと、僕の目は舞台ではなくその子に釘付けでした。ほどなく父親らしき人がその子の手を引いて去ってしまいましたが、その人もフランス的な美男子と言ってよく、あー、こんな人からならこんな美しい子が生まれるんだなあ、とひどく納得したのでした。いやもう、本当にあの子は純粋にすごかったと思います。メルシーというふうに聞こえる名前でした。言うなれば高野さんの絵の女の子から、惜しいですが物憂げな要素を取り除いてしまって、ちょっぴりフランステイストを加えたようなものですね(??)。うむ。
……で、これのどこが奮闘なんでしたっけ。
08/02
感謝に忙しいのは、ふつう幸せなことだ。
ある男の子の話をしよう
ちょっとした用事があったので、先日ある男の子とお茶を飲んだ。今年は梅雨明けが遅くてまだ蒸し暑かったから、私は冷たいものを頼んだ。彼は少ししかめっ面でメニューをしばらく眺めてから、アールグレイ、とだけ言った。店員がミルクかレモンかと尋ねると、ストレートで、と答えた。
彼は小さなときに病気がわかって、今になるまでいろいろと辛い思いをしてきたらしい。ときにはほとんどパニックみたいな状態に陥ることもあったけれど、そんな時はお母さんがお話をしてくれて、これは神様がお前に与えてくださった試練なんだよ、といつも言われたそうだ。今まで嫌なことはほんとうにたくさん経験した子だったけれど、その言葉があったからこそ今まで生きてこられたのかもしれない。
そんな子も、病気のほうは相変わらずだったけれど、今ではずいぶん大きくなって学校に通っている。あるときちょっとしたパーティがあって、家が同じほうだからと、ある女の子と帰りの電車の中で話したそうだ。聞けば、その女の子も昔同じ病気で苦しんでいたという。彼は、彼女がまさかそうだとは思っていなかったのでちょっと驚いた。長い付き合いだからもうほとんど諦めちゃってるところもあるけれどね、と彼が言うと、ああ、そうだね、と彼女も頷いたので、彼は仕方ないからなあと言いたげな、いつも通りのため息をつきかけた。
でも、その次に彼女が言った台詞がそれを許さなかったのだそうだ。それは特別な内容じゃなかったし、その彼女も多分意識して言ったのではないと思う。彼女は「でも、結構直そうと思わないと直らないんだけどね」と何気なく言った。彼と彼女はそのあとすぐにばいばいを言って別れたのだけれど、彼の頭にはその言葉が強く残った。この病気は確かに試練だと思う。でもひょっとすると僕は、直そうと思っていなかったのだろうか。試練を言い訳にしていなかっただろうか。それを隠れ蓑にして、いつでも言い訳を言えることに安心していたのではなかったか。
母親に病気は試練だというある種の刷り込みを受けていたわけだけれど、彼は全く恨んでいないという。小さなときに本当のことを言われていたら、僕は狂っていたかもしれません。当時の僕にそれを受け止める力はありませんでしたからね。真実は答えになるとは限らないんです、と彼は言った。そして、でも、と続ける。失敗したのは、試練という概念に僕がしがみつき続けたことです。周りの環境は変わったし、僕自身も成長してきました。ですから、答えもその時その時で変わってきたはずなんです。でも、僕はそれに気づかなかった。いや、気づいてはいたんですけどね。自分のことになるとさっぱりだったみたいです。
彼は、彼女には感謝しないといけませんね、と言うと少し遠くを見るような目になった。すぐに、あ、でも迷惑かな、と少し笑って底に残っていたお茶をすすったけれど。彼は静かにカップを置くと、ひょっとするとこれが試練だったのかなあ、と下を向いたままつぶやいた。
出ましょう、と彼が言って私たちは店を出た。ドアを押すと鈴が音を立てると同時に、久しぶりの夕日が目に痛かった。今日は風も強い。彼が私のほうを向いて、2003 年 7 月 31 日は特別な日になるかもしれませんね、と言ったので、私はそうだね、と言った。そのとき、くっと音が鳴るような風が吹き抜け、彼の帽子を乗せて飛んでいった。一拍の後、私たちは吹き出した。私はもう一度そうだね、と言って、それからしばらく、私たち二人は店の前で風と戯れた。