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SS

ひとつだけ言っておきますが、二次創作ですから、当然元の作品に関する知識が無いと意味がわからない作品がほとんどです。ついでに言えば、その元作品というのは、たいがい 18 禁です。ですが、何も知らなかった僕が「メカ耳少女の居る風景」や「As her sister」からこの世界に入ったような、そんな何かが。ここにあるのは確かだと思います。

僕にとっての SS

Side Story の略だとか、いや Short Story の略だとか諸説ありますが、そんなことはどうでもいいんです。名前なんて全く問題じゃない。

僕はあまり文章を読むのが好きではありませんでした。相当小さいときは好きだったのですが、難解な表現を多用するような「文学」に出会ってからは、何か文字に対する不信感のようなものをぬぐえなくなってきました。こんな表現で筆者が読者に伝えたいのは自分が優れているということだけか、とか、こんなのを読んで一体何になるっていうんだろうとか。まあ、ありきたりですよね。

でも、今は文章を読むのが好きです。好きになりました。SS に出会ったおかげで、好きになりました。文章には、それを書いた人が何か伝えたいこととか、思っていることが中に込められているんだという、考えてみれば至極当然のことを、はっきりと認識することができましたから。

心動かされたこと、人にどうしても伝えたいこと、どうしようもない衝動、時には萌えを。作者のそういった感情を、全部なんてとても無理ですが、でもその片鱗ぐらいは充分に知らせてくれる二次創作の数々。

何と言うんですか、うーん。

あ、ほら、愛ですよ、愛。(何が

愛にもいろいろな形があるとは思いますが、その中のいくつか、僕が感じたものをここに紹介します。

SS の元作品について

Kanon

えーと。言わずと知れた Key 様の作品。

いや、諸事情でこの作品自体はまだプレイしたことが無いんですが、細かい事情を除けば、ほとんど完全に頭の中で世界が形成されています。2004 年 2 月 27 日に全シナリオクリアしました。

この作品によってあなたの考え方は大きな影響を受けましたかと聞かれたら、僕は間違いなく、はいと答えます。そういう作品です。

To Heart

これまた言わずと知れた Leaf 様の作品。

えーと。説明に困りますが。

……とりあえずプレイしてみます?(おい

別格

お薦めできるだとかそういうレベルではなしに、僕にとってとても特別な、大きな意味を持つ SS たち。出会ったのはそう最近では無く、SS を読み始めた頃でした。順序としては、「メカ耳少女の居る風景」が最初で、「As her sister」、「夢の頃・夢の季節」と続きます。他の人がお読みになって何を感じられるかは知りませんが、僕が受けた影響はとてつもなく大きかった。

これらの SS をお書きになった作家の方々にしてみれば、僕がここに書いていることはただの迷惑かもしれません。本当に一方的な思い入れですから。まあ、でも、笑って見過ごしてくだされば嬉しいな……と思ったりします。何かありましたら、メールでお知らせください。可能な限り早く反応しますので。

夢の頃・夢の季節

「街の幻燈屋さん」こと、LOTH さんのサイト LOTH's Home Page 内の Kanon SS。

LOTH さんの SS はほぼ全てをお薦めできますが、その中でも僕にとっては一番印象が強い SS です。クライマックスのシーンは目に、というか頭に焼きついて離れません。今まで読んだ Kanon SS は数あれど、これほどのイメージを受けた SS はこれただ 1 つです。

基本的には Kanon におけるサブキャラの 1 人である天野美汐のほのぼのなお話ですが、LOTH さん自身が解説でおっしゃっている通り、これはもう Kanon ではなくてオリジナルかもしれない。でも、僕はこのお話が大好きです。このお話の、LOTH さんに愛されている美汐が大好きです。

この SS を初めて読んだ頃、僕は言いようのない不信感で落ち込んでいました。いや、不信感というのは変でしょうか。何が信じられないのかわからないぐらいに何も信じられなかった、と言えばほんの少し実情に近くなるかもしれません。今考えれば、SS という世界を通じて、今まで考えたことも無かったようなことばかりを急に考え出していたからなのでしょう。あわやダウナー路線一直線かと思われたのですが、ぼんやりと見ていたこの SS のある一節に頭を打たれて、そしてやっと一筋の光が見えました。その一節は、別に何と言うことの無い表現と言えば確かにそうなんです。見逃していても何ら不思議ではなかった、ただの表現のはずなのに、それなのに、モニタ上の文字に目が止まって。しばらくの間、ひょっとしたらとても長い間、その文字から目を離せませんでした。

LOTH さんは、エッセイで「わたしに影響を受け過ぎるべきじゃない。そんなもんじゃないんです」とおっしゃっています。こんなところに立ち止まらずにもっと上を目指せ、と。……でも、もう既にかなりの影響を受けてしまいました。誰が何と言おうとも、今までに受けてしまった影響はどうしようもないですよね。だからせめて、たまには……いや、やっぱり頻繁に、かもしれませんけれど……そこに立ち止まって、また幻燈を見せていただければと思います。それを見て、「ああ、綺麗なガラス玉だな……」とつぶやきたい。

……自分でもどうしてこんなことになったのか未だに分かっていなかったりするのですが、2001 年末に美汐のイラストを LOTH さんに捧げました。作品が進行していた時期を考えると時代錯誤も甚だしいのですが、Gallery に展示してくださるそうです。当初差し上げることなんて皆目考えずに描いた作品で、本当にこれを差し上げていいのかと思わないわけではありませんでしたが、そのときの僕にこれ以上のものを描けというのも酷な話で。だから、自分で納得が行く絵を描けるようになったときには、この作品をモチーフにした絵を描きたいと、そう思います。今のままだといつになるやら分かりませんが、でも、そのときに必ずもう一度……。

LOTH さんがこの作品をお書きになったこと、この作品のおかげで僕の進む道が少なからずいい方向に曲がったこと、そしてこの作品に出会えたことそのものに。大きな感謝を。

As her sister

阿倍 碧郎 さんの Kanon SS 処女作 As her sister(あずはあ)【past】から始まる、美坂姉妹を描いた一連の作品。【past】の後 Kanon 本編を経て【future】へとつながり、また【someday】【Xmas】も、本筋とは違うエピソードとは言えこの流れの中にあります。

長い。長いです。ひたすら長いお話です。はっきり言って、めちゃくちゃ長いです。もう信じられないぐらい、普通に考えたら読むのも嫌になるほどの長さです。でも、できるだけ一つ一つの表現に目を通して、飛ばし読みなどせずに充分にかみ締めてほしい。描いている期間はそんなに長いものじゃないはずなのに、驚くほど緻密で、そして大量の描写に圧倒されそうになりますが、どれも絶対に必要です。どんな表現だって、それがどんな些細なものであったとしても、欠けてしまったら違うお話になってしまいます。

寂しいお話です。暗いです。痛いです。悲しいです。辛いです。僕はこの作品を読むと泣きます。それも一度ではなく、何度も。一通り読む間に涙腺が緩む回数は、一桁では下りません。でも。……どこかで温かいお話です。本当に綺麗な文章で綴られた、あまりに優しいお話です。彼女達の弱さと、そして悲しいぐらいの強さ、優しさ。そして親友。本当に大切なこと。「普通」であることの、「当たり前」であることの、「今」が持つ、その意味。彼女達にとっての幸せとは。生きるということは、結局何なのか。

この作品を初めて知ったのは、「メカ耳少女の居る風景」をきっかけに To Heart の SS をあさっていた頃です。「にわか書店」さんで、Leaf 系に並んでいる Key 系 SS を、これまた偶然に、ふらりと見たのが始まり。ああそう、全ての必然は偶然の積み重なり――でしたっけ。いやまあ、それは置いておいて、ちょうどそのときは、As her sister【past】が連載されている最中でした。あっという間に引き込まれて、新作が上がっていないかどうかを楽しみに毎日チェックしていたのをよく覚えています。Kanon SS の中で、真剣に読んだものはこれが初めてだったでしょう。Kanon そのものに興味を持ったのも、この作品からです。

当時の僕にとって、この作品中での香里の描写は他人事ではありませんでした。どこか、と言うより相当な部分で自分とそっくりな香里が放つ、また香里に向かって放たれる一言一言が、ぐさぐさと胸に突き刺さっていました。あらゆる表現が痛かったですね。衝撃でした。どれだけ影響を受けていたのか、僕が中学三年生のときの文集を見てみるとよく分かります(見られる人はそう多くないでしょうが、恥ずかしいので公開はしません :p)。冒頭と最後の挿入文は、まあこの作品の一部を抜いたものを加工しただけなので似ているのは当然ですが、この作品を見ながら書いたわけではない本文までもが、見事に「As her sister の」香里色に染まっています。本当に見ないで書いたのか、今となっても信じがたいほどです。これはごく最近気づいたことなのですが、なんだか不思議に思います。

簡単に言ってしまうと怒られますけれど、でもやっぱり小さな、本当に小さな偶然の積み重なりにすぎないはずの、ひとつの確かな「奇跡」に、ありがとうの言葉を。この作品に出会えて、良かったです。僕は今、幸せです。

2003/01/01 追記: 【future】エピローグ直後の栞をイメージして描いた絵を碧郎さんに差し上げました。本日より縮小版をホームページに掲示しています。何かこの絵から感じ取っていただけることがあれば幸いに思います。このすばらしい作品との幸せな出会いに、改めて感謝を。

メカ耳少女の居る風景

この To Heart Another Side Story の作者は青龍王宮殿の雨野村雲さんですが、現在雨野さんのサイト内には存在しません(とは言っても、マルチ論は読むべきかと)。今この作品を読めるところといえば、僕が知る限りでは、作品中での重要人物でもあるつるぺた元帥さんのところか、神瀬龍樹さん(石神刹那さん?)のところしかありません。僕がこの SS を初めて読んだところがどこだったのかは覚えていませんが、もうなくなっているか、あるいはかなり変わってしまったのは確かなようです。

全てはここから始まりました。何か探し物があって、goo で検索をしている途中、なぜか偶然、本当にたまたまこの作品の一節が引っかかったんです。以前から「マルチ」の名だけはちらほらと耳にしていましたので、何気なく少し覗いてみたら……もう泥沼。あっという間に引きずり込まれました。しょーもない出会い方だったとは思いますが、今となってはもう運命としか言いようが無いと思います。

内容は、まあ考えようによってはただのバカみたいな妄想 SS です。世界を愛と感動の渦に叩き込んだメイドロボット「リュース」との少々マニアックなネタがちりばめられたハートフルコメディ(ホントか?)。真剣な話もあります。というか、それが結構大きいです。そうなんですが、でも、何より僕がこの SS から感じたものがあります。それは、愛です。雨野さんがリュースを本当に愛しているのが、痛いほどに伝わってきました。ちょうど色々悩んでいて、閉塞感にふさぎこんでいた当時の僕にとって、これはとても大きな衝撃でした。

ここで初めて To Heart という作品に対して興味が芽生えましたね。大きな転換点でした。ロボットが社会の中で持つ意味を問う 18 禁ゲームなんて聞いたこと無いぞ。雨野さんにこれほどまでの愛を受けるのっていったいどんな少女だろう。こんなにもファンがいて、こんなにもすごい二次創作をたくさん生み出している作品って一体どんなものなんだろう。

その後はご想像の通りです。「萌え」の意味を理解できたとか、言葉が持つ可能性に目覚めたとかいうのもありますが、何と言っても、自分が「心を持つ」ロボットに対して関心を本当に抱いたのはこの作品に出会ってからだと断言できます。Heart に通ずるものが少なからずここにあります。途方も無く大きなテーマで、もちろんこんなの間違っても僕の手に負えませんが、でもやっぱりあの衝撃は大きかった。どうやっても目を背けられなかった。

この SS に出会うことができて僕は幸せだったと、自信を持って言いましょう。

リストアップすら全然できてません(苦笑)。順次コメントもつけていきたいですが、中途半端にしてしまうとたぶん後悔してしまいますから、だから、急いでコメントをつけることはしません。ゆっくりと進めていくつもりです。

数が多すぎるので、とりあえずはリストアップ待ちです。いつになったらコメントをつけられるか不明。でもお薦め。

ロボ秋子ップ

名前のまんま、ギャグです(笑)。

観音悲劇的物語開始現場

1 行目を読むだけで、作品の全容が絶対に分かります(笑)。